アーミティッジ博士のつぶやき

興味関心の赴くままにアーミティッジ博士が語ります

映画とクトゥルー神話

先日書いた通り、NHKBSプレミアムで放送された、ダークサイドミステリーという番組によって私の中に眠っていたラヴクラフト熱が復活し、こうしてブログを書きはじめている。この番組はなかなかよくできていて、ラヴクラフトの影響を受けた映画として「エイリアン」をあげたり、「サイコ」の原作がラヴクラフトの弟子筋のロバート・ブロックであるなど、後世への影響もしっかりと伝えていた。番組では取り上げていなかったが、当然、私と同世代の人間にトラウマを植え付けたあの伝説の映画「遊星からの物体X」も「狂気の山脈にて」の影響を受けていると私は思っている。

いったい、作家の独創性、オリジナリティというものは何だろうか。オリジナリティの語源が「origin」すなわち起源であることからして、後に多くの批評や作品の「元ネタ」になるようなものがオリジナリティある作品だというのを聞いたことがある。

そうした観点からネットを検索していて面白い説に出くわした。スタジオジブリ映画「崖の上のポニョ」がクトゥルー神話の影響を受けているというのだ。それを読んだときには腹の底から笑いがこみあげてきて止めることができなかった。

はじめは荒唐無稽な話と笑っていたが、ポニョのモチーフが「深きものども」で、ポニョのお父さんがオーベッド・マーシュ船長というのはいかにもよくできていて、まったくの偶然にも思えない。もしかしたら宮崎駿監督が50年前にどこかで「インスマスを覆う影」を読んでいて、その記憶がどこか頭の片隅に残っており、「ポニョ」として復活したのかも知らないなと思わざるを得ないのである。

そのほか、トトロがツァトゥグアをモチーフにしているとか、いろいろと出てきているが、本当に面白い。自分でもちょっと考えてみてふと思いついたのは、映画ゴーストバスターズは「ダンウィッチの怪」にインスパイアされるところ大だったのではなかろうか。ゴーストバスターズを起業した3人組は、アーミティッジ博士、ライス教授、モーガン博士の3人とみることができるし(ただし、ゴーストバスターズでは物語の途中でもう一人加わるという違いはある)、元研究者だし。また、最後に巨大な敵(マシュマロマン)に立ち向かっていくあたりも・・・」

そのひとつひとつが本当かどうかわからないが、そうした説が数多く出てくるのもラヴクラフト作品とその世界観がの普遍性であり、まさに多くの作品の起源「origin」そのものであるということだと思う。おそらくラヴクラフト本人もここまで後世に影響を与えるとは思わなかっただろうが。